研究会の開催報告」カテゴリーアーカイブ

オンライン研究会のご報告(2020.6.6)

日時:6月6日(土)14時~16時

テーマ:健康寿命の落とし穴

前回に引き続き、オンラインでの開催でしたが、今回は柴田先生もご一緒してくださいました…!!

<参加者のご感想>

遠田 恵子様

柴田先生のお話は、いつも私に「反省」を促し、「気づき」をもたらしてくださいます。
反省でいえば、「比較できるデータかどうかの検証が必要」というご指摘。自分の論や主張を正当化するために、都合のいいデータをもってきてはいないか。本来比較できないものを強引に並べ立て、受け手に誤解を与えてはいないか。ミスリードしてはいないか。放送の現場に身を置くものとしては、背筋が伸びる思いがしました。
そして、たとえ寝たきりであっても健康度自己評価が高い人は長生きで幸福感も増すという興味深いお話。何をもって「健康」といい、「幸せ」というのか。深く深く考えさせられます。
この春卒寿を迎えた故郷の母が、自身の健康や幸福についてどんな思いを持っているの か、一度じっくり聞いてみたいと思いました。

森本 真知子様

柴田先生、渡辺先生本日はありがとうございました。調査で本当の実体を表すことができているかどうかを読み解く力の大切さを改めて学びました。これからもご指導いただきたい、柴田先生のお話を伺いたいと切に願うところです。
さて、ウイズ コロナの時代に高齢者が社会貢献を含め、社会活動への参加に変化があるのか、健康寿命との関係はどうなのかを見つめていきたいと思います。また、殿原さんもお話しされたように、「繋がりたい」という気持ちもお互いに強くなったのかと思います。私は今まで話したこともない住民とあいさつ、立ち話、物々交換等が増えました。今までよりも高齢者が地域で心豊かに生活できる時代の到来に期待したいです。
島影様、いつもありがとうございます。フィットネス頑張つてくださいね。


川柳。「おろしたて、服着る機会、オンライン」

<研究会レポート>

2020 6.6    第18回 健康寿命の落とし穴 (出席者数 17名)

レポーター 萩原真由美

 オンラインで交流するみんなの老年学研究会もこれで2回目。なかなか対面で会えない中、お互いの顔が見られるだけでも喜びであるうえ、柴田先生のお話を聞けるのは新鮮で、発見やワクワクも多く、オンライン・トライを続けてよかったの一言です!
今回のテーマは「健康寿命の落とし穴」。

 「健康寿命をどう測っているのか、知っていますか?」という柴田先生からの厳しいご質問に答えられなったところから、このテーマが始まりました。

 国民生活基礎調査の質問票(別紙PDF参照)にある「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問に、1(ADL)日常生活動作、2外出、3仕事・家事・学業、4スポーツを含む運動、5その他の1つでも影響を受けることがあれば、もうそれだけで健康寿命が失われているされる可能性があるらしい。これでは、近頃ひざが痛いからスポーツはできないというだけの人も該当することに気付き、高齢者の大半が該当してしまうのではないかと驚きました。

 厚生労働省のヘルス・ネットには、健康寿命とは「WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間」と記されており、「国連の世界保健機関(WHO)は健康寿命という新しい寿命の指標を取り入れました。これまでの平均寿命はいわゆる「寝たきり」や「認知症」といった介護を要する期間を含むため、生涯の健康な時期とに大きな開きがあることが指摘されておりました」とも書かれています。

 つまり、ひざが痛くてもひざサポーターやリハビリ体操などをしながら、日常生活はしっかり自立してこなしている人も、「寝たきり」や「認知症」といった介護を要する期間の人と同じ扱いになるのでは? そんな疑惑と、老化現象が出てくれば、もう健康寿命はなくなってしまうか?という連鎖的???で、誰もが仰天気分に陥った時間がありました。

 しかし、2000年にWHOが健康寿命(health expectancy)という用語を創出した背景には、それ以前にすでにWHOが提唱していた、高齢者の健康は疾病の有無ではなく、「生活機能における自立」を指標とすべきであるという概念を牽引する経緯があった。長生きすれば体の不具合が生じたり、病気になったりしやすいわけですから、「生活機能」を障害しない病気は必ずしも不健康の指標にはならないという考え方であったことを聞き、厚生労働省の前述の表現と大きな乖離があることを痛感しました。

 老化だけで健康寿命を失うことはなく、エンカレッジやレジリエンスを重視する老年学から見れば、足腰に不具合があっても電動自転車があればどこへでも行け、少しヘルプしてもらえばZOOMでいろんなひとと交流もできるような、「道具を活用した自立であっても、周囲の支えに助けられた自立であっても、‘健康寿命’である」との提言に、改めて心打たれたのでした。

 実は厚生労働省も私たちが感じたような疑惑に対し、2018年12月に「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」を設け、2019年3月の報告書で日常生活動作、外出、仕事、家事、学業、運動等に制限があるものの、要介護2以上の認定を受けるまでは「日常生活動作が自立している期間の平均(健康寿命の期間)」とする“補完的指標”を提案してはいます。しかし、介護保険データというまったく異なるデータを指標に組み込んでいる点には留意が必要であると報告書の冒頭で述べています。この補完的指標を用いれば、現在、男性約9年、女性約12年と言われた健康寿命と平均寿命との差が、平均約6年になるようです。これがまた、政府が健康寿命と平均寿命との差を3年縮める目標を立てていることと符合してしまうことに、小さな違和感を覚えてしまうのは、私だけでしょうか?

 さて、もう一つ、健康寿命のデータにはすごい落とし穴がありました。それが都道府県別健康寿命比較データです。

 都道府県別健康寿命といえば、年度ごとに「うちの県は健康寿命がよそより長い」、あるいは「短い」と、マスコミをにぎわせる話題のデータです。しかし、このデータはまず、都道府県別の回答率が公表されていません。

 しかも、目からウロコだったのは、柴田先生の次のご指摘。「行政からのアンケートというのは、住民の行政への信頼度によって回収率が異なるものである。行政への信頼が大きいところは、いろいろ行政に協力し、アンケートにも答えておけば、それがまた住民のためのサービスにつながるかもしれないと、一般的には回収率も高くなります。反対に、どうせ何を言っても、何にもしてくれないと住民が思っているところでは、回収率も低くなる」。

 この結果、とんでもない矛盾したアンケート集計が作られることになる危険があるのです。例えば、住民にどんな困りごとがあるかを聞くアンケートが行われたと仮定すると、行政への期待が高いほど、いろいろな困りごとを寄せてきて、行政に期待していないところほど、回収率も低いため、上がってくる困りごとも少なくなります。つまり、行政がちゃんとやっている県のほうが困りごとが多く、やっていないほうが少ない結果に。マスコミはただ「○○県が住民の困りごと数のトップ」と書いて話題にしますから、全国的評判は事実と反対に・・・。

 「健康上の問題で日常生活に影響があるか」という健康寿命に関するアンケートにも、一生懸命真面目に答えて回収率の高いほど、健康寿命を失い、どうせ真面目に答えても見返りがないからと回収率の低い県ほど、健康寿命が長く出るかもしれないのです!? こんな結果を並べて、都道府県別に比較しているのが現状だったのです。

 知らなかったことばかりの今回の老年学の学び。やっぱり時々、柴田先生のお話を聞かないといけないな~、つくづく思わされた研究会でした。

オンライン茶話会のご報告(2020.4.9)

緊急事態宣言下、みんなの老年学勉強会も開催ままならず、試行的にZOOMを使ってオンライン茶話会を開催しました。

パソコン、スマホ、タブレットなど、端末は様々。外出自粛要請を受けての開催ですから、殆どが自宅での参加です。

久しぶりの顔合わせに、笑顔がこぼれました。

テーマは「メチニコフと腸内細菌と老年学。と、私たちの今」 です。

洗濯物がつるしてあったり、ご家族が後ろを通り過ぎたり、生活感あふれる勉強会でありましたが、是非また開催しましょうということになりましたので、近日次のご案内ができると思います。


メチニコフと私たち          (萩原真由美 2020年4月11日)

<今、改めてメチニコフの存在を意識した理由>

 新型コロナウイルス感染症に対して、少しでも免疫力を高めておくには腸内環境をよくしていくことが大事。このような発想から腸内細菌に関する記事を書くことになり、深く痛感しているのは、人間という生き物は、生命体として誕生した時から細菌などの微生物と共存しており、今でも私たちは腸内細菌に生かされているという事実です。

 ご存知でしょうか。日々のウンチの3分の1は、自分の腸の中にいる腸内細菌の死骸だということを。1人の腸内に100兆個とも1,000兆個ともいわれる腸内細菌は、実はものすごいスピードで細胞分裂しており、1個の細菌は3日で死ぬそうです。その次々と死んでゆく細菌の死骸がウンチの中に排泄されているんだとか。常にフレッシュで元気な腸内細菌がつくる消化酵素やある種のアミノ酸、短鎖脂肪酸、ビタミンB群やK、アドレナリン、セロトニンなどのホルモンや、腸管免疫に関する腸内細菌のサポートがなければ、私たちは健康で生きてはいけないことを再確認し、ワナワナ、ビックリのひと時がありました。

 しかも、同時にハッと気がつかされたのが、このような腸内細菌や腸管免疫研究のパイオニアの1人にE・メチニコフがいたことです。メチニコフといえば、私たちにとっては老年学(gerontology)と死生学(thanatology)の名付け親。老年学はメチニコフから始まったと教わっています。

彼は、1886年にできたロシア初の細菌学研究所の所長を務めた後、パリのパストゥール研究所に移り、やがてパストゥールの後継者として所長を務めた科学者であり、1908年には食細胞と免疫の研究でノーベル賞をもらった科学者ですから、腸内細菌や腸管免疫を調べていてこの名前に出会うのは、当たり前といえば当たり前なのですが、そんなフィールドの科学者がなぜ、老年学(gerontology)や死生学(thanatology)を提唱するに至ったのだろうかという、老年学研究科に入った時から抱いていた疑問が甦ってきたのです。このような疑問を胸中におきながら、今、結局は感染症との闘いで、いかに人類が脆弱であるかを知らされている私たちのこの世界と、メチニコフが老年学を提唱した経緯などを話題にしながら、おしゃべりができないかと思った次第です。

(PS)

ちなみにメチニコフはヨーグルトの研究でノーベル賞をとったように言われることも少なくないようですが、彼の研究はあくまで「食細胞(白血球)と免疫」の研究でした。1907年に発行された著書「長寿の研究 楽観論者のエッセイ」でヨーグルトに含まれる乳酸菌に腸内の腐敗菌の増殖を抑える働きがあると言及し、独自の“ヨーグル不老長寿説”を唱えたのを受けて、1908年にニューヨークタイムスがメチニコフの記事を掲載。これを機に、多くのメディアがヨーグルトと長寿の可能性を誇大宣伝したので、メチニコフがヨーグル研究者のように世界中から思われるようになったようです。

※本日は、ここまで。なぜ、腸内細菌と免疫の科学者メチニコフが老年学(gerontology)

と死生学(thanatology)を提唱したのか。そのヒントのほんの一端について、また日を改めてメモ書きしてみたいと思います。

<参考文献>

光岡知足. 人の健康は腸内細菌で決まる!. 技術評論社(2011)東京

須藤 信行. 脳機能と腸内細菌叢. 腸内細菌学雑誌2017 ;(31):23-32
三好真琴ら. 腸内細菌と脂質代謝. 静脈経腸栄養2013;28(4):9−15

安藤 朗. 腸内細菌の種類と定着 その隠された臓器としての機能. 日内会誌2015;(104):29~34

(オリガ・メチニコフ. メチニコフの生涯.)

Olga Metchnikoff. Life of Elia Metchnikoff. London Constable and Company LTD.(1921)

https://bandscorp.jp/learn/labo/function/01/ 乳酸菌生成エキス研究室

https://www.shiseido.co.jp › 脳腸相関LABO /資生堂

第13回「みんなの老年学研究会」開催報告(2019年5月28日)

平日夜間の開催でしたが、多くの方にご参加いただきました。初めてのご参加も4名!ご興味をお持ちいただき、感謝申し上げます。

今回は、柴田先生のご講義(20分程度の超速レクチャー)と、初めての試みのワークショップ形式で行いました。

ワークショップでは、自己紹介から始まり、3つのお題で意見を出しあい、各班の発表者が全員に共有するという流れ。最後は、柴田先生、渡辺先生にも応用老年学の見地からのご解説をいただき、とても実りある研究会になりました。

今回、アンケート&プロフィールということで、各人1枚書いていただきました。その内容は、HP掲載の許諾を得て、別途ご紹介します。

第12回「みんなの老年学研究会」開催報告(2019年3月16日)

第12回「みんなの老年学研究会」開催のご報告です。

今回は、初めての一般公開で、柴田先生に特別ご講義をいただきました。

ご講演テーマ「長寿の嘘と罠」と題して、粗食美談の嘘・コレステロールばい菌説の嘘・高齢社会の罠について、ユニークな語り口でお話をいただきました。

ご講義のあとは、渡辺修一郎先生にもご登壇いただき、参加者とのクロストーク。ご質問、ご意見を活発にいただき、盛り上がりました。

参加者は33名。ご遠方から初めて参加された方もあり、新しい仲間との出会いも嬉しい研究会でした。

会場は、桜美林大学千駄ヶ谷キャンパスをお借りしましたが、いつものクラスルームではなく、ホールでしたので、プロジェクターやマイクの設備もばっちり。ちょっとおしゃれな空間で、それもまたナイス。落ち着いた雰囲気で充実した時間を過ごすことができました。

参加者アンケートでは、次回を期待する声を多くいただきました。是非また実現したいと思います。

第11回「みんなの老年学研究会」開催報告(2019年1月17日)

第11回「みんなの老年学研究会」開催のご報告です。

今回のテーマは、10回に引き続き「高齢者の就労」でした。

まさに就活中の方や高齢者の就労支援に関わる方など、様々な立場からの意見があり、
お互いの視点を知ることができました。

今回は、新メンバーも加わり、総勢16名(柴田先生+参加者15名)の、熱気のある会になりましたこと、御礼申し上げます。
ここ数回、続々と新メンバーにご参加いただいていることもあり、
改めまして簡単に自己紹介と研究会の感想などを
シェアさせていただければと思います。


参加者の感想

★心に残った言葉「継続」「掘り起こし」
参加していただいたみなさんのそれぞれの立場や経験、知見から興味深いご意見を伺うことができ、刺激を受けました。
中でも、心に残ったのは「継続」と「掘り起こし」です。
高齢期の備えとしてはもちろん、フリーランスとして働くいま現在にも、この2つはとても重要なキーワードだと改めて。


第11回 研究会Report

テーマ「高齢者の就労」に関する深堀ポイントを考える

①「生活困窮者自立支援法」の相談窓口における、高齢者の求職の背景と実態

桜美林大学大学院老年学研究科の卒業生で、「品川区暮らし・しごと応援センター」の窓口で相談者の対応をなさってこられた森本真知子さんより、話題提供がありました。このセンターは平成7年4月に生活困窮者自立支援法が施行されたのを受けて発足された65歳以下の相談窓口にもかかわらず、多くの65歳以上の方も仕事を探して来所するそうで、様々な仕事を求める背景について、現実密着型のレポートがありました。

  • 「こんなに長く生きるとは思わなかったから、貯金が減り、年金も少ないし働かないとー」
  • 「年金はあっても、もう大人になった息子がニートや引きこもりなので働かないとー」
  • 「自営業のお店が成り立たなくなり、たたんだので他で働かないとー」
  • 「親が特養に入れないので、高い他の施設の費用を払うには働かないとー」

等々、切実な事情からいくつになっても働かなければならない人が少なくないことを話され、この窓口から高齢者向け無料就職相談所に繋いだり、ネットで仕事探しのお手伝いをしたりしていることを伝えてくださいました。 

②私たちは、高齢者の就労動機の実態をどこまで知っているのだろうか?
 どこにその実態を知るデータがあるのだろうか?

この日の参加者の中には、希望退職した上乗せ退職金や、ライフプランに基づいた老後資金を確保したうえで、次の仕事を求める方などの再就職先をマッチングしている公益財団法人の方もおり、就労動機の切実さがあきらかに違うという感想もありました。

また、中高年の女性たちに向けた上手な生き方をテーマにシンクタンクの活動をしている方からは、この活動に参加する65歳以上の女性たちは、お金のために働くというより、自分らしさの追求で時間を使い、その結果趣味の作品が売れたりすればさらに人生が充実するが、最近は50代ぐらいの女性の中には収入に結び付く活動が必要になっている方も増えてきているといお話があり、一見、富裕層であっても、時代とともに経済事情がじわじわと違ってきていることも実感させられました。

これらのお話だけでも、高齢者の就労と一口に言ってもその動機も背景も実に幅が広く、困窮のために働きたい群と、より自分らしい生き方のために働きたい群と、定年してもまだ引退は早いので仕事を探している群と、その他さまざまな理由の群と、どの群にどれくらいの求職人口がいるのか正しく知ることがまず私たちが突き当った初めの課題、宿題であることを確認しました。

また、それぞれの群に見合うような仕事の求人が群の種類だけ実際にあり、マッチングできるのか。なければ仕事のありそうなフィールドにうまく人をマネージングできるのか。さらに、仕事を作り出す(プロデュース)することはできないか。

これからの高齢者の就労支援には、「マッチング」「マネージング」「プロデュース」という3つのキーワードがあり、それぞれの課題別に好事例などを把握しながら広める取り組みが必要なのではないか、という一つの結論も出た研究会となりました。

  就労(プロダクティビティ)のためのスキル向上も含めて、
 『生涯発達』のカギは、継続である。

最後の柴田先生の老年学的まとめには、参加者全員が深く納得!

もう一つのこの日の話題は、高齢になっても働き続けるには、能力維持をどうするのか。そもそも能力維持がずっとできるのか、というテーマでした。

「60代後半、70代、80代となれば、若い人と競争はできない」というのも事実でありながら、女子大で英文学の先生を長く勤め、70代の今、小学校で英語指導の補助をしている方から、「おばあちゃんだからいいこともたくさんある」というお話をしてくれました。英語ができるできないより、学校生活で人間性を養うという面では、現役で時間的、精神的に余裕なく100%で働かなければならない先生より、おばあちゃんの出番。生徒のほうも面白がって、甘えながら楽しく頑張ってくれるとか。

この話を受けて出たのが、「仕事のスキルや稼ぐスキルって、高齢になるほど“生きる力” や“器用さ”がものをいうと思う」、という発言です。 「ずっと主婦できて、特別なスキルはないといえばないけれど、

器用に着物のリフォームを始めて、仕事にしている人もいます」。たしかに。そこへいくと、男性は生き方そのものが不器用ですよね。

ところで、老年学的に高齢者のスキル向上の問題をみれば・・・。

「生涯発達」における人格ではなく、スキルの部分に注目したバルテスの理論になります。

柴田先生からこの理論の解説がありました、IT技術やテクニカルといった「結晶性知能」だけでは、その人の仕事能力は測れず、一見技術だけにみえる仕事でさえも、「歳をとっても落ちない言語性知能」が陰で大きく働いている。以前、若いタイピストと高齢のタイピストはどちらが速くタイプできるかという実証をしたところ、予想は、やはり指の動きがだんだん鈍くなるので、若い方にはかなわないというもの。ところが、高齢者のほうが次にくる単語の予測能力が高いので、完全ブラインド打ちができなくなっても、

若い人にも劣らないという結果だったそうです。初めから、かなわないと思うか。その分何処でカバーできるか、己を知り、持てる能力を最大限にうまく使う知恵があるか。それがスキル高低の分かれ目であることを再確認させられました。

そして最後に柴田先生の「生涯発達」理論が登場! 先生は長年スーパー老人といえるような、年齢をかさねても高い実力とますます魅力的な仕事ぶりを示す方々を取材し、本にしていらっしゃいます。2016年には世界最高齢、当時95歳の現役ピアニスト、室井摩耶子先生を取材し、生涯発達を続けていらっしゃる方々の秘密を解明しました。 さて、その秘密とは? 何だと思いますか?

「継続です」。「新しいことにチャレンジしないと脳が鈍くなる、みたいな話がよくあるが、そうじゃない。生涯一つのことを継続し続ける挑戦。日々、“熟達”を目指す挑戦にこそ、生涯発達のカギがある」。「室井さんは毎日同じ音譜を弾いても、常に新しいものを発見している」と。

迷わない。揺らがない。そんなスピリットが腹に座ったとき、人生は深みも、高みも増すということを教わった日でありました。

(文責 発起人・萩原真由美)

第10回「みんなの老年学研究会」開催報告(2018年11月13日)

第10回「みんなの老年学研究会」開催のご報告です。

今回のテーマは、「高齢者の就労」です。

議論の前に、高齢者の就労実態についてある程度共通イメージを持つことを目的に、下記資料のお話しがありました。

シニア就労について


ディスカッションで出た意見

  • 感謝しながら働く高齢者の姿が、若いスタッフの人材育成に役立っているのではないか?
  • スポットライトが当たるのは、輝くシニア。でも、現実はもっと厳しいのでは?
  • 「仕事をしないと満足な生活ができない」という国の施策に問題があるのではないか
  • 高齢者が増えれば「能力」に対する意識も変わっていくのでは?
  • 高齢者の就労は果たして、社会に役立っているのか?
  • 高齢者の就労をめぐる「意識の差」をどう考えるか
  • 加齢にともない、失われていくスキル、失われないスキル。
  • 失われていくスキルをどう補うか?
  • 高齢期、どうスキルアップするのか? 若いときと同じではないとすればどうすればいいのか。
  • IT活用でフォローできる部分もあるのでは?
  • 世代間の問題をどうとらえるのか

などなど。

上記は前回のディスカッションのごく一部を切り出したものですが、「高齢者の就労」をめぐり、さまざまな切り口、視点が登場しました。

次回はここからさらに一歩、それぞれの現場でのご経験や

知見を持ち寄りながら、議論を深めていければ幸甚です。

第9回「みんなの老年学研究会」開催報告(2018年9月15日)

第9回「みんなの老年学研究会」開催のご報告です。

今回のテーマは、「死の受容」あるいは「死を語ったり、考えたりすることの意味」です。

超速タイピングのライター島影が、実況Twitterをしています。研究会を再体験でき、ハラハラ・ドキドキを味わえます。

↓ こちらをクリックすると、ツイートされた記事を一覧で読むことができます。

●第9回「みんなの老年学研究会」まとめ(2018.9.15)


参加者の感想

  • 参加者H「終末期のケアも葬儀や埋葬も、つまり死との付き合い方もいろいろなパターンがあると話し合えるようになってきたのはすごくいいことなんじゃないか」
  • 参加者I 「子どもの頃、その辺にセミの抜け殻が転がっていたら、蟻がどこからともなくやってきて連れて行って片付いた。でも、今はマンションの前の転がっているセミの抜け殻は、管理人さんが片付けるまでそのまま。誰も片づけようとしない。都会の孤独死を思い浮かべる」
  • 参加者I 「ある地方の小さな村では、終末期にも死の始末にも選択肢はなくて。蟻が集まってくるように、一人暮らしであっても、村人が集まってきて弔う。からだがきかなくなったら、村にひとつある特養に入り、卒業したら村人が集まってきて……いつのまにか片付いている」

幹事からのお知らせ(島影)

いつもお世話になっております。
「みんなの老年学研究会」連絡係の島影です。

先日の第9回研究会ではありがとうございました。
研究会顧問を引き受けてくださった渡辺修一郎先生を始め、多くのみなさんにご参加いただき、活発な議論が交わされました。
その様子をTwitterで実況したものをまとめたものをお送りしています。

第8回「みんなの老年学研究会」開催報告(2018年7月7日)

第8回「みんなの老年学研究会」開催のご報告です。

今回のテーマは、「高齢者と運転免許」です。

超速タイピングのライター島影が、実況Twitterをしています。研究会を再体験でき、ハラハラ・ドキドキを味わえます。

↓ こちらをクリックすると、ツイートされた記事を一覧で読むことができます。

●第8回「みんなの老年学研究会」まとめ(2018.7.7)


参加者の感想(萩原真由美)

今回も、参加者お一人お一人の的確な視点とご意見にどれも頷かされることばかりで、勉強になります。

回を重ねるごとに、どなたからのご意見やご発言にも「老年学的視点」が深くなっていらっしゃる気がして、研究者や学術の世界から芽を出して、市井の老年学が芽生えているのではないでしょうか。(実に、編集者的感想ではありますが)

最後に、1つだけ。「運転寿命の延伸プログラム」の研究を進めているのは、国立長寿医療研究センターです。

参加者全員、柴田先生の最後の老年学的視野からのまとめの深さが心に響いております。引き続き、先生にはご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

萩原真由美

第7回「みんなの老年学研究会」開催報告(2018年5月13日)

第7回「みんなの老年学研究会」開催のご報告です。

初めての日曜開催です。これまで、平日の夕方でしたが、柴田先生の大学のご講義等のご都合や、ご参加の皆様のご意向により、2か月に1回の土曜または日曜開催ということになりました。

今回のテーマは、「高齢者の社会貢献~プロダクティブ・エイジング」です。

人のために力になりたいと思う人ほど健康長寿の傾向ということが、データにも表れているという報告もありました。

研究会中、参加者の発言をリアルタイムでツイートしています。耳では聞き取りにくい用語や、難しい内容も、要約されていますので、どなたにも分かりやすい内容です。ぜひご覧ください。

※超速タイピングと、クレバーな要約は、幹事の島影さんです。

↓ こちらをクリックすると、ツイートされた記事を一覧で読むことができます。

●第7回「みんなの老年学研究会」まとめ(2018.5.13)


参加者の感想(萩原真由美)

今回から先生の一方的な講義だけではなく、参加型にするために事前にテーマを決め、まず参加者から発言。これを受けて柴田先生が老年学の概念やこれまでの研究を紹介しながらまとめてくださる形式です。前回まで、無口だった方々も発言されれば、実にしっかりした見解をお一人お一人もっていることに、私だけでなく、その場にいた誰もがお互いに感じあっていたのではないでしょうか。

今回のテーマは、「高齢者のプロダクティビティ」。プロダクティビティは、お金に換算できる生産性という意味だけは決してなく、「社会貢献」という言葉に置きかえられるのではないか。この理解の前提で議論が始まったものの、「プロダクティビティをどう捉えるか」についてのやり取りだけでも、その及ぶ範囲はまさに想定外の広さと深さで・・・、それはそれは面白い!発見だらけ! のひとときでした。

柴田先生からは、「介護をするのではなく、介護される側になっても、人は立派にプロダクティビティな存在であれる」というお話に、「なるほど」と頷くやいなや、議論の器はあっという間に広がり、「“死”や“おくり”の場に、そして“回忌”の場に、人は集まり、故人が残してくれた目に見えない大切なものが継承されていく。そんな循環を次世代に繋ぎながら死んでゆくことを考えれば、人として生まれて死んでゆく存在そのものがプロダクティビティなのではないか」と。既成概念に捕らわれない発想と発言ができる研究会ならではの提言もありました。う~ん、どうせ死ぬなら、循環の役割をきっちり担い、プロダクティビティな死に方をしたいものだと思ったのは私だけでしょうか。

しかも、今回すごいのは、このような発言の様子がツイッターで同時公開されるという、超素晴らしい試みがなされたこと。もう、ビックリです。

すでにその内容も「みんなの老年学研究会」のホームページで公開されています。

ぜひぜひ、ご覧ください。http://gerontology-study.net/

 

次回(7月7日 土曜日 AM10時~12時)のテーマは、

「高齢者の運転免許とエイジズム」です。

これからも進化する研究会に、 乞う、ご期待!

                       (萩原真由美)