オンライン研究会のご報告(2020.10.11)

●日時:10月11日(日)14時~16時

●講師:「英語発音体操」 英語発音体操の会 杉本享子氏

●講師:「オーラルフレイルについて」 東京医科歯科大学歯学口腔保健学科長 荒川真一先生

今回は、研究会メンバーである杉本享子さんに、  お口の健康に役立ち、英語の発音のブラッシュアップにもつながる「英語発音体操」をご披露いただいた後、 東京医科歯科大学の歯学口腔保健学科長である荒川先生に「オーラルフレイル」についてお話いただきました。

<参加者のご感想>

田邊和子さん

杉本享子先生、荒川真一郎先生、ありがとうございました。
おふたりの情報満載のご講義、とてもためになりました。つくづく我が顔・口・喉をもっと鍛えなくてはいけないと痛感致しました。確かにみんな筋肉でできているのですから、筋トレすれば、必ず効果はあるはずですね。

「オーラルフレイルを制するもの、すべてのフレイルを制す!」

出席できなかった方のためにご講義の一部を紹介させていただきます。
杉本先生のお話は、ご自身が開発なさった「英語発音体操」に基づいた顔の筋肉、呼吸法と英語の発音の関係に着目したお話でした。顔の筋肉を鍛えてフレイルを予防するのと同時に、英語の発音も改善しようという欲張りな体操です。キーワードは、「たこやき」「りんご」「うどん一本」です。「たこやき」は、頬の筋肉を象徴しています。「いー」と思いっきり横に口を引っ張って発音して鍛えます。「りんご」は、口を大きく開ける動きです。りんご丸かじりの気分で「あー」と声をあげます。「うどん一本」は、口先をきゅっと閉める動きです。「うー」と口の奥を使って発音します。まじめにやると結構疲れます。これを何度もしたら、英語の「pot」をお腹の底から発音してみてください。Native speakerのような発音になっています。ウキウキした気持ちになって、心も顔も若返る英語教室でした。

荒川先生のお話は、島影さんの感想を引用させていただくと「断片的であった知識のすべてが繋がりを持って見えてきた」というように、口周りの動きと機能についての体系的なお話でした。口腔内の歯や舌、そして顔や顎の筋肉と唾の関係など、嚥下と咀嚼に関する運動が全部関係していることがよく理解できました。中でも噛むことの重要性について、私は、しみじみと考えさせられました。私たちの文明って、本当に発達しているのでしょうか。怠惰な道をまっしぐらに走っているだけなのではないでしょうか。

さて、講義で紹介された咀嚼に関するクイズです。

以下は、時代別の一回の食事で噛む回数です。

  • 弥生時代 4千回 (木の実など食べていたためです。)
  • 鎌倉時代 3千回
  • 江戸時代 1千回 (うどん・そばが出現したため急減しました。)
  • 現代   ?   (何回だと思いますか? 答えは、600回です。)

今からでも遅くありません、固いものを食べ、歯磨きに精を出し、入れ歯の手入れをよくし、朝起きたら、耳の下、顎の下の唾液腺を押してたくさんのつばを出してから食事をしましょう。そして、昼間には、一秒間に「ぱぱぱぱぱぱ」と6回言う練習をすれば、効果的なフレイル予防ができます。フレイルに迎え撃つ自信が持てたお話でした。

平澤 奈保子さん

「目からウロコのオーラルフレイル予防」とても興味深い内容でした。有難うございました。島影さんが最後の感想で述べられたように、”口腔ケアと認知症との関係”の様に今まで断片的には知っていた知識が繋がる内容でした。老年学を「お口の健康」(オーラルフレイル予防)という観点から見ると、新たな可能性がまだまだある事に気づけました。

  今回の研究会は体験型ワークショップのような趣で、今までに経験したことのない研究会でした。特に柴田先生のお顔のアップの画像で、先生の英語の美しい発音とオーラルディアドコキネシス テストで素晴らしい滑舌の良さを聴くことが出来たのは、Zoomでの研究会の思いもかけない恩恵でした

 

杉本享子先生の『英語発音体操』

  柴田先生が、「英語発音体操』を「日本人の声の出し方と欧米人の額に響かせるベルカント唱法声の出し方(筋肉の使い方)の違いに着目した事は今迄の英語教育にはなかった画期的な視点」だとご指摘をされた通り、英語学習という点からみても素晴らしい体操でした。そして何より、Zoom上で皆で超真剣に大きな口を開けて大きな声での発音練習は、レクリエーションとしてもコロナ禍の憂鬱を吹き飛ばす位楽しかったです。

 英語発音体操の①母音体操②子音体操③強弱リズム体操の内、 今回は、表情筋に効果のある①の英語の母音7つ+子音Wを指導して頂きました。イ:作り笑いの口、エ:イの口のままたこ焼きのほっぺ、ア:リンゴ丸かじりの口、ウ:うどん一本分の口等々の説明がとても分かりやすく、本当に楽しみながら参加できました。そして、短時間でも、顔中の筋肉が痛くなるくらい効果的な筋肉トレーニングでした。こんなに使っていない筋肉があるの(使わずに過ごしていたの)だと、改めて実感すると共に英語発音体操の効果が実感できました。

東京医科歯科大学 歯学口腔保健学科長 荒川真一先生の「オーラルフレイル」のお話

   オーラルフレイルについての分かりやすい説明と、その予防のためのオーラルケアの行い方の実践指導はとても興味深いものでした。荒川先生に最新の情報を分かりやすい言葉で端的にご説明して頂いた事で、高齢期のQOLを高める要因としてバラバラに漠然と認識していた事が、一気に繋がった気がしました。ユーモアを交えた楽しいお話の上に、オーラルケアの実践方法のご指導で、効果が直ぐに実感でき有効性がその場で実感出来ました。Zoomで皆で一緒に体操する事は想像以上に楽しかったです。

・オーラルディアドコキネシス(拮抗反復運動):皆で一緒に5秒 パ・タ・カ(発音)テスト。ここでも、柴田先生が驚異の活舌の良さを披露され、荒川先生にも流石と褒められ基準値の6回/秒を遥かに上回る結果で、柴田先生の身体能力+脳力を改めて実感させて頂き、畏敬の念と共に人間の可能性を再認識させて頂きました。

・舌体操 ①口あけ舌体操・②口しめ舌体操共:舌が攣りそうになりました。舌だけではなく眼を始め顔面後頭部まで全ての筋肉の繋がりが感じられました。

・唾液腺マッサージ ①耳下腺・②顎下腺・③舌下腺:思っているより強く押すよう指にという指示に従いおこなったら、直ぐに唾液が出て驚きました。口が乾くこれからの季節、電車の中等気が付いたらいつでもやってみようと思いました。

・嚥下力強化 ①首の体操・②肩の体操・③嚥下練習:体が軽くなり気持ち良かったです。これも、気が付いたらいつでもやってみようと思いました。

 ケアは、日々の小さな気づき(注意)と日々の小さな積み重ねが大切なのだと再確認させて頂けました。

 最後におまけとして、「身体活動量および強度と死亡率との関係」という英国バイオバンクのコホート研究(96,476人)の最新の研究からの、運動強度が上がると死亡率が下がるという結果と共に、運動量が同じ負荷でも栄養量が上がると死亡率が下がるという結果は、大変興味深いものでした。

 研究会の最後感想で、萩原さんの「全てのフレイルの始まりは、オーラルフレイルからくるのではないか? 老化の始まりの信号はオーラルフレイルから…」という言葉がとても腑に落ちました。臓器の入り口である口腔、脳の周りの筋肉に直接繋がる口腔、人が命を繋ぐために一番重要な呼吸と摂食に最初にかかわる口腔…口腔ケアの重要性と、QOLを高めるための口腔ケアの可能性を再認識させて頂けた研究会でした。

 今回の研究会も大変勉強になりました。有難うございます。次回の研究会もよろしくお願い致します。

松島 光子さん

10月12日(日)の「オーラルフレイル予防」、楽しく伺いました。「英語発音体操」、面白かったです。商法登録されているとはアッパレですね・・・。

恐らく1960年代生まれの世代位までは、学校によっては「LL教室」があって、そこには鏡付デスク(ついでにカセットテープレコーダ付デスク)があって、 その鏡を見ながら発音練習させられていた経験があるかも・・・と思いました。

個人的には、趣味がコーラス(特にオペラ)活動なのですが、コロナ禍で継続的活動がストップしているので、「発音体操」は久々の活動でした。イタリアオペラが多いので、音楽に言葉をのせるために「口の運動」をしているんだなぁ・・・と、思いました。

考えてみれば「声」を商売にしている方って、気づかづ日頃から運動しているんでしょうね。